マンジャロダイエットは危険?薬剤師が解説する痩せる仕組みと3つのリスク

「YouTubeで紹介されているダイエットを色々試したのに全然効果が出ない……」

「色々なダイエットを試しても痩せず、自信がなくなった…」

そんなとき「注射だけで痩せる」と噂のマンジャロが気になったのではないでしょうか。

しかし、マンジャロは「糖尿病治療薬」であり、ダイエット利用は「適応外使用」になります。

万が一副作用が起きても国の救済制度が適用されず、自己責任となるリスクを伴います。

この記事では、現役薬剤師である池田 悠馬がマンジャロの効果とリスク、注意点などを解説します。

マンジャロの効果やリスクなどを知ると、安全にダイエットをすることができるでしょう。

目次

マンジャロとは?

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は本来「2型糖尿病」の治療のために開発された医療用医薬品(血糖降下薬)です。

マンジャロの特徴はオゼンピックやリベルサスといった従来の糖尿病治療薬と比べて、より強力な血糖コントロール作用を持っています。

オゼンピック・リベルサス等との決定的な違い

メディカルダイエットとしてよく名前が挙がる「オゼンピック(注射薬)」や「リベルサス(飲み薬)」はGLP-1受容体作動薬という分類です。

「GLP-1」という1つのホルモンにのみ働きかけ血糖値を下げるインスリンの分泌を促します。

一方のマンジャロは世界で初めて「GLP-1」に加えて、「GIP」というもう1つのホルモンにも同時に働きかけるように作られた新しい薬です。

この2つのホルモンに同時に働きかけることで膵臓からのインスリン分泌を強力に促し、従来のオゼンピックやリベルサスと比較しても極めて優れた血糖降下作用を発揮します。

【ワンポイント】同じ成分の「ゼップバウンド」とは?

マンジャロについて調べていると「ゼップバウンド」という名前を目にすることがあるかもしれません。

実はゼップバウンドはマンジャロと全く同じ有効成分(チルゼパチド)で作られたお薬です。

大きな違いは「何の病気に対して承認されているか」です。

マンジャロが「糖尿病」のお薬であるのに対し、ゼップバウンドは日本でも「肥満症」の治療薬として正式に承認されています。

「それならゼップバウンドを使えば安全にダイエットできるの?」と思うかもしれませんが、保険適用で処方されるには「BMI35以上」または「BMI27以上かつ高血圧などの合併症が2つ以上ある」といった非常に厳しい条件をクリアする必要があります。

単に美容目的で数キロ痩せたいといった場合はこの条件に当てはまらず、結局どちらの薬を使用しても全額自己負担の自由診療となり、リスクを伴う点は変わらないことを知っておいてください。

マンジャロの効果

マンジャロは2つのホルモン受容体(GIP/GLP-1)に作用し、従来の治療薬よりも多角的かつ強力に「太りにくい体質」への変化を促します。

ここでは、マンジャロの効果について体の部位別に解説します。

  • 脳
  • 胃
  • 代謝

マンジャロを正しく理解することで、安全にダイエットすることが可能です。

脳への作用:強力な「食欲抑制」で自然に食べる量が減る

マンジャロの有効成分は脳の視床下部にある「満腹中枢」を刺激し食欲を抑える効果があります。

マンジャロのような分子量の大きいペプチドホルモンは脳に移行しづらいと考えられていました。

しかし発売元のイーライリリーの調査によると、ラットを用いた実験において脳への分布が認められています。

この作用により、「お腹が空いた」「甘いものが食べたい」といった欲求そのものが湧きにくくなります。

胃への作用:消化をゆっくりにして「満腹感」を長続きさせる

胃の働きを穏やかにし、食べたものが胃から腸へと移動するスピードを遅らせる作用があります。

少量の食事でもすぐにお腹がいっぱいになり、さらにその満腹感が長時間続きます。

結果としてついつい手が伸びてしまう間食や、ドカ食いを物理的に防ぎ、1日のトータルの摂取カロリーを無理なく抑えることが可能です。

代謝への作用:血糖値を安定させ、脂肪を溜め込みにくくする

食事の後の血糖値の急激な上昇を防ぎ、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを適切に整えるのも重要な特徴です。

血糖値が急激に上がると、体は余ったエネルギーを「脂肪」として蓄えようとします。

マンジャロはこの働きをコントロールすることで、脂肪が新たに蓄積されるのを防ぐとともに、効率よく体重を落としやすい体の状態をサポートします。

マンジャロで何Kg痩せることができるのか

海外で行われた大規模な臨床試験においてマンジャロは非常に高い体重減少効果を示しました。

糖尿病を持たない肥満症の患者を対象とした「SURMOUNT-1試験」では、週1回の注射を約1年半(72週間)継続した結果、投与量に応じて平均15%から20%以上の体重減少が報告されています。

これを体重70kgの人に換算すると、およそ10kgから14kg以上減少した計算になります。

ただし、このデータを読み解く際には以下の2点に注意しなければなりません。

1つ目は、あくまで「BMI30以上の肥満症、または合併症を持つ肥満の人」を対象とした試験結果であるという事実です。

もともと標準体重に近い人や、美容目的で数キロ落としたい人が使用した場合に必ずしも同じ割合で体重が落ちるわけではありません。

2つ目は、試験は「カロリー制限と運動指導」を併用した環境で行われているという点です。

薬を打てば暴飲暴食をしても痩せるわけではなく、薬で食欲が抑えられている間に、適切な食事量や生活習慣を定着させることが結果を出すための前提となります。

  • 出典:SURMOUNT-1試験(The New England Journal of Medicine, 2022年)

マンジャロの副作用と注意点

マンジャロは強力な効果を持つ医療用医薬品であるため、当然ながら副作用のリスクが伴います。

安全に使用するためには、どのような症状が起こり得るのかを事前に把握しておくことが不可欠です。

ここでは特に注意すべき副作用や使用できない人の条件について詳しく解説していきます。

よく見られる副作用

最も頻繁に報告されているのは胃腸に関連する症状です。

具体的には、吐き気、下痢、便秘、胃のむかつきや消化不良などが挙げられます。

これらはマンジャロが胃の動きを遅くする作用を持っているため、どうしても起こりやすくなる症状と言えるでしょう。

多くの場合、体が薬に慣れてくる数日から数週間で自然と和らいでいきます。

しかし症状が重い場合や長く続くときには、決して我慢せずに医師や薬剤師に相談してください。

頻度は少ないが重大な副作用

発生する確率は低いものの、放置すると命に関わる重大な副作用も存在します。

具体的にどのような症状に気をつけるべきか、わかりやすくまとめましたのでまずは下の表をご覧ください。

副作用名 主な初期症状・注意すべきこと
低血糖 脱力感、強い空腹感、冷や汗、ふるえ、めまい。糖分の補給など早めの対応が大切です。
急性膵炎 みぞおちから背中の激しい痛み、吐き気。異常を感じたら直ちに使用を中止してください。
胆道系の異常・黄疸 右上腹部の痛み、発熱、皮膚や白目が黄色くなる、体のかゆみ。
重いアレルギー症状 全身のじんましん、息苦しさ、顔や喉の腫れ。直ちに救急処置が必要です。
イレウス(腸閉塞) ひどい便秘、お腹の張り、持続する腹痛、吐き気。

万が一これらの初期症状が現れたときは、ご自身の判断で放置せずすぐに使用を中止して速やかに医療機関を受診するようにしてください。

マンジャロを使用してはいけない人

体質や現在の健康状態によっては、安全上の理由からマンジャロを使用できない方が存在します。

  • 過去にマンジャロの成分でアレルギー症状を起こしたことがある人
  • 1型糖尿病の人や、糖尿病による重い症状(昏睡状態など)が出ている人
  • 重い感染症にかかっている時や、大きな手術の前後などで体に負担がかかっている人
  • 妊娠中、または妊娠している可能性がある人
  • 授乳中の人

妊娠中や授乳中の方については、お腹の赤ちゃんや母乳への安全性が確立されていないため使用を控える必要があります。

ダイエット目的の自由診療であっても事前の問診や検査を通して、ご自身がこれらに当てはまらないか医師に見極めてもらう過程が欠かせない要素です。

過去に膵炎や重い胃腸の病気にかかったことがある方も慎重な判断が求められるので、該当する場合は必ず診察時に伝えるようにしてください。

マンジャロダイエットは危険!3つの重大なリスク

糖尿病の治療薬であるマンジャロをダイエット目的で使用することには、決して無視できない危険性が潜んでいます。

安易な使用を避けるべき大きな理由は主に3つです。ここからは、その具体的なリスクについて詳しく解説していきましょう。

深刻な副作用と「自己責任」の罠:副作用被害救済制度の対象外

本来の目的(糖尿病治療)以外でマンジャロを使用し、万が一重篤な副作用が起きても、国の「医薬品副作用被害救済制度」は適用されません。

入院が必要になるほどの健康被害が生じてもすべて自己責任となり、高額な医療費を全額自費で負担するリスクを負うことになります。

救済の対象外となる事実は、自由診療で薬を使う上で最も覚悟すべき点と言えるでしょう。

見過ごされがちな健康被害

マンジャロはホルモンバランスに干渉するため、医師による定期的な血液検査が欠かせません。

自己判断で使用を続けていると、自覚症状のない段階で進行する肝機能や腎機能の異常を見落としてしまう危険性があります。

数値の変化を確認せずに独断で投与量を増やす行為は、内臓への負担を劇的に高めるため極めて危険です。

適切な医療管理下で数値を見極めることが、健康を損なわないための絶対条件となります。

薬をやめれば元通り?:基礎代謝の低下が招くリバウンド地獄

急激な減量は脂肪だけでなく大切な筋肉量まで奪い、結果として基礎代謝を大きく低下させます。

一生お薬を使い続けるわけにはいかないため、使用をやめて食欲が戻った際落ちた代謝のせいで以前より太りやすい体質に陥る人が後を絶ちません。

この悪循環を防ぐには、薬が効いている期間こそ意識的な「タンパク質の摂取」と「運動」で筋肉量を維持する工夫が求められます。

薬に頼り切るのではなく、少ない食事量で満足できる正しい食習慣を脳と体に覚え込ませることが、リバウンドを防ぐ唯一の道です。

マンジャロに関するよくある質問

マンジャロで一か月でどれくらい痩せるか?

開始1か月目の体重減少量は、元の体重の「2%〜4%」の範囲に収まる人が最も多いです。

例えば体重60㎏の人は1か月で約1.2kg〜2.4kg減少します。

マンジャロはどのくらいで効果がでる?

早い人では「投与開始から数日〜1週間以内」に食欲減退の効果を実感します。

マンジャロの1カ月の費用はいくらですか?

自由診療(ダイエット目的)では約2万円〜5.5万円、保険適用(2型糖尿病治療)では約4,500円〜1万円台が目安です。

まとめ:薬剤師がマンジャロダイエットをおすすめしない理由

これまで解説してきた通りマンジャロはこれまでの肥満治療の常識を覆すほどの強力な効果を持っています。

しかし、その裏には「自己責任」という重い代償や、リバウンドのリスクが確実に存在します。

薬剤師の立場から伝えたいのは、安易に薬の力だけに頼り切るダイエットは、健康な体を損なう危険性があるということです。

もしマンジャロを使用するのであれば、単に体重を落とすことだけを目的にしないようにしましょう。

薬によって食欲が抑えられている期間を「一生続けられる正しい食習慣」を身につけるための準備期間と捉えることが大切です。

タンパク質を意識した食事や適度な運動を組み合わせ、薬を卒業した後もリバウンドしない体づくりをセットで考えるようにしましょう。

最後にどのような目的であっても、信頼できる医師の診察と適切な指導のもとで使用することが大前提です。

ご自身の健康を第一に考え、正しい知識を持って選択することをおすすめします。

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